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ニュースリリース

消費者物価指数の動向について

2025年06月02日
総務省が4月18日に公表した消費者物価指数によると、25年3月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比3.2%(2月:同3.0%)となり、上昇率は前月から0.2ポイント拡大しました。電気・都市ガス代の支援策により2月に続きエネルギー価格の上昇率は抑えられるも、食料(生鮮食品を除く)の伸びが一段と加速したことがコアCPIを押し下げました。

消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は2023年9月以降、前年比で2%台の伸びが続いていましたが、「酷暑乗り切り緊急支援」の終了に伴う電気・都市ガス代の上昇率急拡大を主因として2024年12月に前年比3.0%と1年4ヵ月ぶりの3%台となりました。

電気・都市ガス代の「酷暑乗り切り緊急支援」は2024年10月使用分で終了し「電気・ガス料金負担軽減支援事業」が2025年1〜3月使用分で実施されることとなりましたが、(3月は補助額縮小)値引き額は2024年夏よりも減額されました。また、2024年末までとしていたガソリン、灯油等の「燃料油価格激変緩和対策」は、2025年入り後も継続されましたが、補助金額は縮小されました。ガソリン価格(レギュラー)は2024年12月中旬までは1リットル=175円程度でしたが、2025年1月中旬以降は185円程度で推移しています。エネルギー価格の上昇率は、当面高止まりすることが見込まれます。

食料品(生鮮食品を除く)は2023年8月の前年比9.2%をピークに2024年7月には同2.6%まで鈍化しましたが、その後は輸入物価の再上昇に米価格の高騰が加わったことから再び上昇率が高まり、2025年1月は同5.1%となりました。食料品値上げの動きはしばらく続く可能性があるものの、川上段階(輸入物価、国内企業物価)の食料品価格の上昇率は2023年夏頃に比べれば低水準にとどまっています。現時点では、消費者物価の食料品価格の上昇率は6%程度まで高まった後、頭打ちになると予想されます。

消費者物価指数の調査対象522品目(生鮮食品を除く)を前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、2月の上昇品目数は405品目(1月は398品目)、下落品目数77品目(1月は84品目)となり、上昇品目数が3ヵ月連続で前月から増加しました。上昇品目数の割合は77.6%(1月は76.2%)、下落品目数の割合は14.8%(1月は16.1%)、「上昇品目割合」−「下落品目割合」は62.8%(1月は60.2%)でした。

サービス価格は2023年後半以降、2%台前半の伸びが続いていましたが、2024年度入り後は1%台半ばまで伸びが鈍化してます。しかし、サービス価格の動向を大きく左右する人件費は、高水準の賃上げを背景に増加が続くことが見込まれます。人件費や物流費を価格転嫁する動きが続くことから、サービス価格の上昇ペースは再び加速する可能性があります。

コアCPI上昇率は、2025年前半にエネルギー、食料を中心に3%前後で高止まりした後、財価格の上昇率低下を主因として徐々に鈍化しますが、2025年中は2%台で推移すると予想されます。賃上げに伴うサービス価格の上昇を円高による財価格の上昇率鈍化が打ち消す形で、コアCPI上昇率が日銀の物価目標である2%を割り込むのは2026年以降と推察されます。

遠藤総研は、本事業を含め、環境社会の構築、資源リサイクルの効率化、超高齢化社会への対応など、社会的課題の解決に貢献する関連事業に引き続き多面的に取組んで参ります。