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ニュースリリース

国際家族デー

2016年05月15日
今年の「国際家族デー」は、世界各地で家族が混乱と悲劇に直面する中で迎えることとなりました。暴力的な過激主義の台頭、強制避難の影響、異常気象その他の課題は、危機的状況に置かれた家族の健康と一体性に甚大な被害を及ぼしています。比較的安定した社会でも、家族は依然として暴力や差別、貧困との闘いを強いられています。

家族は、大胆かつ包摂的な「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の実現に向けた私たちのグローバルな取り組みの前線に立っています。すべての国連加盟国があらゆる年齢層の健康な生活と福祉の増進を目指すという、持続可能な開発目標(SDG)3を達成するうえで、特に欠かせない役割を果たします。

子どもたちが健康に育つためには、愛情だけでなく、医療や教育をはじめとする基本的な支援も必要です。多感な思春期を迎えた若者は、感情的な支えのほか、リプロダクティブ・ヘルスに関する情報とサービスも必要としています。若い男女の同性愛者や両性愛者、トランスジェンダーの人々(LGBT)の自殺率は、全人口と比べてはるかに高くなっているため、その安全と受容は公衆衛生上の課題となっています。

多くの社会では、女性と女児が家庭内でも差別や暴力を受けており、このことが生涯を通じ、その健康と福祉に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。家庭生活は高齢者の健康にも重要な意味を持ちます。その貢献が家族やコミュニティーに認められることによって、高齢者は活発かつ健康な生活を続けられるからです。

各国政府は、家族がさまざまな形で果たす不可欠な役割を支援しなければなりません。親が出産の時期や子どもの数を決定できるよう、リプロダクティブ・ヘルス・サービスへのアクセスを提供すべきです。親が新生児に人生の最高のスタートを切らせてあげられるようにするためには、妊産婦医療と育児休暇も欠かせません。

私は政府や企業、各関係機関その他のパートナーに対し、ケアが家庭生活に不可欠な要素であることを認識するよう呼びかけます。誰もが人生の何らかの時点で、家族からケアを受ける必要があり、また、こうした必要が生じたときには、誰もがケアを提供できるべきです。

政策や法律を通じ、支え合う家庭環境や前向きな子育てを促進すれば、家族が健康で幸せな子どもを価値ある生産的な大人へと育てることに役立つでしょう。

誰も置き去りにしないということは、どの家族も置き去りにしないということを意味します。

今年の「国際家族デー」にあたり、あらゆる年齢の家族が皆、私たちの世界に貢献できる能力を発揮できるような支え合う環境をつくることにより、持続可能な開発を進めていく決意を固めようではありませんか。


(潘基文 国連事務総長メッセージより)